米国食品医薬品局 (FDA) は、医療機器の定義から除外されている、機器以外の特定のソフトウェア機能に関連する患者の安全性に関する情報を求めています。
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FDAは、医療機器の定義から除外される一部の非医療機器ソフトウェア機能について、患者安全への影響に関する意見・情報を募集しました。 ― コメント提出期限:2026年8月13日です。

 
米国食品医薬品局 (FDA) は、医療機器の定義から除外されている、機器以外の特定のソフトウェア機能に関連する患者の安全性に関する情報を求めています。コメントの締め切りは2026年8月13日です。
 
The U.S. Food and Drug Administration (FDA) is requesting input on patient safety associated with certain non-device software functions excluded from the medical device definition. Comments are due by August 13, 2026.  
 
This input will help the FDA develop the 2026 report on the risks and benefits to health of non-device software functions, which include certain software functions intended for: administrative support of health care facilities; encouraging a healthy lifestyle; serving as electronic patient records; transferring, storing, converting formats, or display of data; and providing limited clinical decision support.   
FDA seeks input from all interested parties. You may submit comments to the public docket at https://www.regulations.gov/ using docket number FDA-2026-N-7611. https://www.fda.gov/about-fda/cdrh-reports/reports-non-device-software-functions
 
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Update: July 14, 2026
FDA Requests Input on Certain Non-Device Software Functions and Impacts to Patient Safety  
The FDA requests input on patient safety, including best practices to promote patient safety, education, and competency, associated with medical software functions that are excluded from the medical device definition by the 21st Century Cures Act. This input will help the FDA develop the 2026 report on the risks and benefits to health of non-device software functions, which include certain software functions intended for:  
  • Administrative support of health care facilities, 
  • Encouraging a healthy lifestyle, 
  • Serving as electronic patient records, 
  • Transferring, storing, converting formats, or displaying data, and 
  • Providing limited clinical decision support.
Please submit comments under docket number FDA-2018-N-1910 at www.regulations.gov by August 13, 2026. 
 
 
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総括(Exective Summary)
FDAのいう Non-Device Software Functions(非医療機器ソフトウェア機能) とは、「医療・健康分野で使用されるソフトウェアではあるものの、21st Century Cures Actにより、FD&C Act上の“医療機器”の定義から明示的に除外された特定の機能」を指します。
したがって、医療機器メーカーが開発・提供するソフトウェアであっても、機能単位ではNon-Deviceに該当し得ます。会社の業種、クラウド/アプリ/組込みソフトといった実装形態ではなく、Intended Use、出力内容、使用者、臨床判断への関与度によって判定されます。FDAの方針は、プラットフォームではなく「ソフトウェア機能単位」で適用されます。
また、2026年7月14日の更新は、現時点では新しい規則や義務を発効させるものではなく、2026年版の隔年報告書を作成するための情報募集です。コメント期限は2026年8月13日です。

1. Non-Device Softwareに該当する5つの類型
FD&C Act Section 520(o)(1)(A)~(E)では、次の5類型が医療機器の定義から除外されています。
類型
医療機器メーカーにおける例
Device側へ越境する典型例
A. 医療機関の管理・事務支援
予約管理、請求、在庫管理、装置稼働管理、医療機関の経営分析、検査室ワークフロー
患者個別の診断・治療判断、装置制御、臨床アラームを行う
B. 健康的な生活の維持・促進
歩数、運動、睡眠、一般的な食生活改善、ウェルネス支援
特定疾患の診断、治療、症状軽減を標榜する
C. 電子患者記録
紙カルテ相当の情報を保存・転送・表示するEHR機能
患者記録、画像、検査結果を解析して診断・治療判断を行う
D. 医療機器・検査データの転送、保存、形式変換、表示
機器データをクラウドへ転送、保存、EHRへ表示、フォーマット変換するゲートウェイ
波形・画像・信号を解析する、異常を検出する、臨床的優先順位を付ける
E. 限定的な医療従事者向けCDS
ガイドラインや患者情報を提示し、複数の選択肢と根拠を医師に示す透明性の高い意思決定支援
特定の診断・治療を指示する、時間依存の緊急判断を行う、ブラックボックス型推奨を行う
 
特にD類型では、医療機器データ、画像、波形、信号等を単に転送・保存・形式変換・表示するだけのソフトウェア機能はDeviceではありません。ただし、そこに「interpret or analyze」が加わると、Device Software Functionとなる可能性が高くなります。

2. 最も境界が難しい「Non-Device CDS」
医療従事者向けCDSがNon-Deviceになるには、原則として以下の4条件をすべて満たす必要があります。
  1. 医療画像、IVD信号、信号取得システムのパターンや信号を取得・処理・解析しない
  2. 患者情報、医学文献、診療ガイドライン等を表示・分析・印刷する
  3. 医療従事者に予防・診断・治療に関する支援または推奨を提供する
  4. 医療従事者が推奨の根拠を独立して確認でき、ソフトウェアの推奨だけに主として依存しない設計である
Non-Device CDSになりやすい例
  • 適用した診療ガイドラインを明示する
  • 入力患者データと判定ロジックを表示する
  • 複数の選択肢を提示し、医師が独自に評価できる
  • アルゴリズム、使用データ、検証結果、既知の限界を説明する
  • 緊急性の低い状況で、医師の判断を補助する
Device Softwareになりやすい例
  • ECG、SpO₂、CGMデータ、CT画像等の信号・パターンを解析する
  • 「心筋梗塞の可能性」「患者悪化」「低血糖」を自動検出する
  • 特定の治療、投薬量、患者搬送等を直接指示する
  • 時間依存性の高い判断を行う
  • 推奨根拠を医療従事者が独立して確認できない
  • 患者・介護者向けに直接診断・治療推奨を提供する
FDAは、患者や介護者向けのCDSは、医療従事者向けであることを要求するSection 520(o)(1)(E)の除外基準を満たさないと説明しています。

3. 「Non-Device」と「Enforcement Discretion」は別物
ここはビジネス判断上、非常に重要です。
  • Non-Device Software
    法律上、医療機器の定義に該当しない、または明示的に除外される機能
  • Enforcement Discretion対象のDevice Software
    法律上は医療機器に該当するが、低リスク等の理由により、FDAが当面、一部の要求を執行しない方針としている機能
後者は「医療機器ではない」という意味ではありません。FDAは、疾病の自己管理を支援するが具体的治療提案を行わない機能や、医療従事者の単純作業を自動化する低リスク機能等について、Enforcement Discretionを適用する場合があると説明しています。
したがって、社内のRegulatory Classificationでは、少なくとも次の3区分を分ける必要があります。
  1. Non-Device
  2. DeviceだがEnforcement Discretion
  3. FDA規制対象のDevice Software Function

4. 医療機器メーカーにとってのビジネスインパクト
4.1 開発期間・規制コストを抑えた新規サービス展開が可能
Non-Deviceに該当する機能については、その機能だけを理由として、通常のDeviceとしての510(k)、PMA、De Novo等の市販前手続や、Device固有の登録・リスティング等が自動的に要求されるわけではありません。
そのため、医療機器メーカーは既存機器を中心として、以下のようなサービスを比較的展開しやすくなります。
  • 医療機器データのクラウド保存・共有
  • 医師・患者向けデータポータル
  • 病院の装置・在庫・予約管理
  • 一般的ウェルネスサービス
  • 透明性の高い医療従事者向けCDS
  • 機器データとEHRとの連携サービス
これは、ハードウェア販売中心から、データサービス、サブスクリプション、クラウドプラットフォーム型ビジネスへ移行する機会になります。FDAは、単なる転送・保存・表示機能をNon-Deviceとして扱うことを明確にしています。

4.2 製品表示・販促表現が規制区分を変える
同じ技術でも、以下の違いで規制区分が変わり得ます。
  • 「測定値を表示する」
    → Non-Deviceの可能性
  • 「異常の可能性を検出する」
    → Deviceの可能性
  • 「一般的な運動習慣を支援する」
    → Wellness/Non-Deviceの可能性
  • 「糖尿病患者の血糖を改善する」
    → 疾病の治療・軽減目的となり、Deviceの可能性
  • 「参考となる診療ガイドラインを提示する」
    → Non-Device CDSの可能性
  • 「この患者には薬剤Aを投与すべきであると指示する」
    → Device CDSの可能性
FDAは、Device該当性を判断する際、Intended UseとIndications for Useを定義することが出発点であると説明しています。
したがって、Marketing、Medical、Regulatory、Software開発部門が別々に表現を決めるのではなく、製品クレームを一元管理することが必要です。

4.3 Device機能とNon-Device機能が同一製品内に共存する
例えば、一つのクラウドプラットフォームに以下が含まれる場合があります。
  • データ保存・表示:Non-Device
  • ECG異常検出:Device
  • 病院の予約管理:Non-Device
  • 患者悪化予測:Device
  • 医師向けガイドライン表示:Non-Device CDS
この場合、FDAはNon-Device機能そのものをDeviceとして規制しませんが、そのNon-Device機能がDevice機能の安全性・有効性に及ぼす影響を評価することがあります
例えば、Non-Deviceと分類したデータ転送機能が、
  • データを欠落させる
  • 患者を取り違える
  • 単位を変換する
  • 古いデータを表示する
  • Deviceアルゴリズムへ誤った入力を送る
といった場合には、規制対象Device機能の安全性・性能へ直接影響します。
そのため、複合製品では「この機能はNon-DeviceだからQMS管理外」と単純に切り離すのは危険です。

4.4 「FDA規制対象外」と「安全管理不要」は同義ではない
FDAの2024年報告書では、Non-Device Softwareについて全般的にリスクより便益に関する情報が多かったとされています。一方で、Non-Device SoftwareにはDeviceとしての有害事象報告義務がないため、事故や不具合が過少に把握されている可能性があるとFDA自身が指摘しています。
また、Non-Device CDSでは、次のリスクが指摘されています。
  • 古い、または信頼できない推奨内容
  • 薬剤投与経路等のロジック誤り
  • 通知漏れ
  • 標準化されていないデータや単位
  • EHR・機器間の不完全な相互運用性
  • 医療従事者の過度な依存
  • AI/生成AIによる不正確な内容
FDAの2024年報告書では、CDSコンテンツについて、臨床専門家を含む多職種チームによる検証、定期レビュー、最新情報への更新、ユーザー教育等がベストプラクティスとして挙げられています。
これは現時点で一律のDevice法規制要求ではありませんが、病院の調達審査、提携先のDue Diligence、製造物責任、ブランド信頼性の観点から、実質的な要求になっていく可能性があります。

5. 今回の2026年FDA情報募集の意味
今回の更新によって、直ちにNon-Device SoftwareがDeviceへ変更されたわけではありません。
FDAは、以下について情報を募集し、2026年版報告書に反映しようとしています。
  • 患者安全へのプラス・マイナスの影響
  • 実際に発生した不具合、事故、Near Miss
  • 安全な設計・実装方法
  • 教育・トレーニング
  • ユーザーの能力・適格性
  • AI/CDS、EHR、データ連携等の安全上の課題
2024年報告書では「報告されたリスクは比較的少ないが、そもそも報告義務がないため実態を十分に把握できていない」という問題が残されています。したがって今回の募集は、単なる定例調査である一方、Non-Device領域にも、より体系的な安全管理・透明性・教育を求める将来政策の基礎資料になる可能性があると考えられます。

6. 医療機器メーカーが実施すべき対応
現時点では、次の対応が実務的です。
① Software Function Inventoryを作成する
製品名単位ではなく、各製品を次の機能単位に分解します。
  • 入力
  • 転送
  • 保存
  • 表示
  • 解析
  • 検出
  • 予測
  • 推奨
  • アラーム
  • 装置制御
それぞれについて、Device/Non-Device/Enforcement Discretionを分類します。
② Regulatory Boundaryを文書化する
各機能について、以下を明確にします。
  • Intended Use
  • 使用者:医療従事者、患者、介護者
  • 入力データ:画像、信号、検査結果、一般的医療情報
  • 出力:情報表示、選択肢、推奨、診断、指示
  • 時間依存性
  • 推奨根拠の透明性
  • Device機能への影響
③ Non-Device向けの比例的Quality Frameworkを設定する
法的にDevice QMSをそのまま適用するという意味ではありませんが、少なくとも以下は維持すべきです。
  • リスク評価
  • 要求仕様
  • Verification/Validation
  • データ完全性
  • 相互運用性テスト
  • 変更管理
  • コンテンツ更新管理
  • ユーザビリティ
  • 苦情・安全情報の収集
  • AI/アルゴリズムの透明性
  • Human Oversight
  • 重大インシデントのエスカレーション
④ Device機能との相互影響を評価する
Non-Device機能の変更が、規制対象Device機能に次の影響を与えないかを確認します。
  • 入力データ
  • 性能
  • リスクコントロール
  • アラーム
  • サイバーセキュリティ
  • ユーザーインターフェース
  • 臨床ワークフロー
⑤ 米国向け製品戦略としてコメント提出を検討する
特に以下の経験を持つメーカーは、FDAへのコメント提出に意義があります。
  • Device/Non-Device混在プラットフォーム
  • AI/GenAIを利用したCDS
  • 医療機器データクラウド
  • EHR連携
  • リモートモニタリング
  • Non-Device機能で発生したNear Miss
  • 独自の安全管理・変更管理手法

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