FDAでの ICH E2B(R3) 対応検討と正式アナウンスが具体的な段階に入ってきました。
すでにご承知のように、FDAでは長年使用してきていた「既存FARES」 PV Systemのバージョンアッププロジェクト(完成後は FARES IIの名称に)が進行中です。今回の News Letterでは、特にFDA ICH E2B(R3)の検討項目の一部をダイジェストサマリーとしてご紹介をさせて頂きます。
2019年 2月から7月にかけて FDAでのInternal Meetingが開催されており、ようやくFDA ICH E2B(R3)での個別副作用電子報告の具体的な計画案が検討されています。現在の FDAの計画案では、2020年3月に FDA new PV System (FARES II)で本番実装となっております。
ただし、製薬会社からの個別有害事象電子報告のレギュレーション上のタイムライン(何時から開始して必須になるのかは?)は、正式に決定されていない状況です。
Session 1: FAERS II and E2B R3 Up Versioning Plans
– Communicated FDA’s plans on FAERS II and E2B R3 up versioning
– FDA’s current planned E2B R3 production date is March 2020
– Currently no compliance timelines have set for E2B R3 by FDA – Discussed Testing Plan and Method
なお、上記で示されている FARES IIは、現在行われている FDA Version-up Project後「ArisGlobal LSMV: LifeSphere Multivigilance相当」の新システム名称です。
また、この検討の中では、「Regional Requirement」として「FDA Tag」が実装される予定のようです。
その内の一つですが、例えば “FDA.C.1.7.1: FDA Report Type”が予定されています。これは、J-Item Tagや EU Tagと同様にして、FDAでも独自の FDA Tagが必要になってきます。ここは、すでに先行している PMDA/EMA ICSR.xml(R3)との情報交換を考えた場合、その項目内容の確認とインパクトを把握することが重要です。
1. 今回の Newletterでは、最初に Regional Requirement : FDA Tagのご紹介をいたします。
最初に代表的な FDA tag項目として、「FDA.C.1.7.1 : FDA Report Type」と、「FDA.c.2.r.2.8 : Reporter’s Email」の2つを FDA Tagの事例としてご説明させていただきます。

1) FDA.C.1.7.1 : FDA Report Type: Mandatory
この項目は、PMDA J-Itemの 「J2.1a 識別番号(報告分類)」と ICH (R3) 「本症例は当該国の緊急報告の規準を満たすか?(C.1.7)」の2つの情報を組合わせた項目に相当します。
値は、数字1桁で「1,2,4,5,6」 (3はリザーブか?)となっており、各バリューの意味は以下の表をご参照ください。市販(Post-Market)、治験(IND)、コンビネーション(Combo)の3つの症例カテゴリー別に報告タイムラインを表現しています。PMDA/EMA E2B(R3)には無い、FDA独自の報告分類レポートタイプとなっています。本項目は、PMDA/EMA (R3) 項目との整合性確保・フィールドマッピングの検討が必要です。

2) FDA.C.2.r.2.8: Reporter’s Email Optional
この項目は、報告者(症例の)電子メールアドレスを設定する項目です。
- Email address of the reporter
- Data length and Type: 100 AN
- Conformance: Optional
- Allowed Values: Free Text
3) その他のFDA Regional Requirement : E2B(R3) FDA Tag項目




2. 上記のFDA Tag以外にも多くの Regional Requirement (FDA)が検討されています。
「FDA Tag : E2B R3 Regional Requirements for Combo Product safety reporting」
以下は、検討されています「コンビネーション医薬品(Combo Product)」用の FDA Tag項目です。
最近、コンビネーション医薬品での承認・発売が増えてきており、薬剤報告と医療機器報告の両方を組み合わせて行う場合のレギュレーション上の対応と必要な項目の整理が必要になってきます。
日・欧・米(PMDA/EMA/FDA)の機器報告のレギュレーション上の違いと、コンビネーションたる医薬品としての取り扱いと当局報告については、各PV Systemでの新規機能との関連もあり、検討すべき項目が多くあることは悩ましいところです。






3. Reference
https://www.fda.gov/food/laboratory-methods-food/media-index-bam
https://www.fda.gov/combination-products
https://www.fda.gov/industry
https://www.fda.gov
本 HiroPharma Newsletterで記載しております情報は、まだ FDAでの検討段階のものになります。従いまして、今後FDAからの正式なレギュレーションの発出時には変更される可能性がございます。あくまでも内部検討用の参考情報としてのみご利用ください。この点をご理解の程よろしくお願い申し上げます。
さて、ようやくFDAも ICH E2B(R3)対応を2020年度からは正式に開始することが濃厚(計画案あり)です。
正式なアナウンスは、2019年 4Q/ – > 2020 1Qには出てくる可能性が高いと推察されます。
なお、今回お知らせしましたように、FDA独自の Local Requirementの FDA Tagが、Report Type以外にもいくつかが規定されると考えられます。これに関しては、今後その影響範囲とインパクト・リスク分析を早めに行っておくことが肝要かと存じます。
また、今後PV Systemベンダー(Oracle[Argus], ArisGlobal[ARIS:LSMV], DXC(HP)[CW5], FIP[Perceive])が早めに製品のエンハンスメントをすることを期待していますが、製薬メーカー様側でも、既存PVシステムの Version-upや、「症例エントリー」でのガイドライン変更、代替案などの準備、及び予算検討・計上は早めにスタートすべきかと思います。
今回の HiroPharma Newsletter Vol-1 No-2では、FDAの動きと ICH E2B(R3) Regulationの一部サマリー情報の提供をさせて頂きました。ただし、FDA Tag以外にも、コンビネーション医薬品への対応、 Generic DrugなどがFDA内で検討が進められています。このように今後分析が必要なカテゴリーはまだ多く残っております。このため、今後引き続き情報収集と課題分析を行い、サマリー情報のご提供を行っていく所存です。
なお、より詳細な調査報告、関連資料を継続して提供をご希望される場合は、Hiro Pharma Consultingとの「コンサルテーション契約」のご説明を差し上げたいと思います。ご連絡をお待ちしております。
何卒事情ご賢察を頂けましたら幸いです。
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