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FDA ICH E2B(R3) (続報)FDA ICh E2B(R3) -continuation-

FDA ICH E2B(R3) 開始までに何を準備しておくべきか? また、2020年度PV予算へのインパクトは?

すでに 上記記載のニュースでお伝えしたように、FDAは、2020年3月に FAERS IIにて ICH E2B(R3) 症例受領・処理システムのFDA内での本番稼働に向けて準備を進めています。

そして、2020年 4月からは、Sponsor Testingとして、申請希望した製薬会社による E2B(R3) Testが開始される予定です。

このような FDAの動きに対して、皆様におかれましては、「FDAのレギュレーション変更「E2B(R3)」なので、北米の子会社(or HQ)が担当しており、で日本では直接の対応は不要では?」とお考えでしょうか?
または、「日本のPVシステムと、海外のPVシステムは、各々独立して運用しているので、海外PVシステムの FDA報告だけを対応すれば良い。」とのご判断でしょうか?
それとも、「わが社は、日・欧・米でGlobal Single Database, Single Workflow Process のPV Systemで運用中であり、症例プロセスの役割・整合性対応が懸念されるので、すでにインパクト分析を開始している。」との動きでしょうか?

いずれにしましても、上記のような状況をふまえて、今回の記事では、
「FDA ICH E2B(R3)開始までに何を準備しておくべきか?」
「2020年度PV予算へのインパクトは?」

上記2点につきサマリーポイントを page-2-8に整理いたしました。ご参考になれば幸いです。

なお、次回FDA E2B(R3) Meetingは、2020年 2月19日に開催が予定されています。この時に具体的なタイムラインが提示されるのではと考えられます。また合わせて、現在パブリックコメント募集中の FDA Regional Requirement (FDA Tag)も更新版が提示される予定になっています。
FDA next Step(一部)
Prepare for the next meeting on Feb 19, 2020
Prepare sample regional E2B R3 data files

1.FDA ICH E2B(R3)開始までに何を準備しておくべきか?

1) 「Regional Requirement : FDA Tag」への対応の準備

FDA tag項目の1つの事例として、「FDA.C.1.7.1 : FDA Report Type」について見てみたいと思います。
本項目は、Regional Requirement FDA Tagですが、「Mandatory」となっていることから、日本症例・外国症例でFDA報告を行う場合には、「何時?誰が?どのように?」して情報入手・設定・入力・レビュー・承認をするのか?の Case Entry Proceassing, SOPを決めておかなければなりません。

a) FDA.C.1.7.1 : FDA Report Type: Mandatory

この項目は、PMDA J-Itemの 「J2.1a 識別番号(報告分類)」と ICH (R3) 「本症例は当該国の緊急報告の規準を満たすか?(C.1.7)」の2つの情報を組合わせた項目に相当します。

値は、数字1桁で「1,2,4,5,6」 (3はリザーブか?)となっており、各バリューの意味は以下の表をご参照ください。市販(Post-Market)、治験(IND)、コンビネーション(Combo)の3つの症例カテゴリー別に報告タイムラインを表現しています。PMDA/EMA E2B(R3)には無い、FDA独自の報告分類レポートタイプとなっています。本項目は、PMDA/EMA (R3) 項目との整合性確保・フィールドマッピングの検討が必要です。

もちろん、FDA Tagは、「FDA.C.1.7.1 : FDA Report Type」だけでは、なく他にも FDAにより定義されています(HiroPharma News Letter Vol.1 No.2参照ください)。これらの FDA Tagの一つ一つについて、その求められている項目の値を踏まえての Case Entry procedure/ SOPを決めておかなければなりません。

2)EMA/ PMDA 「Regional Requirement」と FDA Tagとの関連性と整合性の確認

[EMA “EU tag”] v.s [PMDA “J-Item Tag” or Greenbook Tag] v.s [FDA “FDA Tag”] v.s 「ICH “Standard Tag”

これで、Europe, Japan, USの3つの 「Reginal Requirement Tag」が出揃うことになります。ICH E2B(R3) Standard Tagと PMDA Greenbook (+ J-Item) Tagを勘案すると合計5つの項目の横並びマッピングリストの比較が必要な項目が出てきます。もちろん、すべての項目についての関連性と整合性の確認は不要ですが、いくつかの症例評価の重要項目については、関連性・整合性の対応が必要になります。

つまり、お互いにほぼ同じ意味の項目ではあるが、各規制当局の求めている「求められている値:Value、項目の背景・目的・意味」に微妙な違いが発生する可能性があります。従って、ICH E2B(R3) Standard Tagと Reginal Requirement Tag(EMA/PMDA/FDA)についての横並びでの関連性と整合性の確認が出来るマッピングリストがあれば有用な情報になります。

例えば、EU Tagの一つである「G.k.9.i.2.r.1/2/3.EU.1」 EU Assessmentの場合、ICH E2B(R3) Tagである「因果関係評価」の項目では、「EU Tag」 <>「ICH Standard Tag」 <>「PMDA Green Book Tag」の評価を行う必要があります。

表1:EU Tag Assessment
表2:ICH E2(R3) Assessment
表3:PMDA Greenbook 評価

また、その他いくつかの項目で、定義・値の関連性の確認が必要になります(以下はその一部です)

3) NullFlavorsの EMA/PMDA/FDA関連性と整合性の確認

NullFlavoresの対象フィールドとその値については、ICH E2B(R3) Implementation Guideにて定義されています。しかし、一部項目に関しては、EMA/PMDA (FDA)で完全に一致していない項目があります。
以下は、薬剤・バッチ / ロット番号(G.k.4.r.7)と、報告者・資格(C.2.r.4)の例です。

New NullFlavors for ICH fields (e.g. EMA has introduced NF for batch number G.k.4.r.7)
Unaccepted NullFlavors against ICH definitions (e.g. EMA does not allow NF for reporter qualification C.2.r.4)

EMA NullFlavores Specification (一部)

4) Codelists (UCUM)のEMA/PMDA/FDA関連性と整合性の確認

Codelists Test Unitsについても、同様に ICH E2B(R3) UCUMで定義されています。しかし、UCUM Code Version-upに対して、すぐに規制当局(EMA/PMDA/EMA)が、3極で同時に受領可能とするかは未定です。実際 2019年9月時点では、EMA/PMDA間で受領可能な Lab test Unit Codeで齟齬が見られます。

 Individual codelistsfor ICH fields (e.g. test result unit F.r.3.3 with a restricted list instead of full UCUM allowance)

5) その他の国の規制当局の動きにも注意が必要

中国 NMPA (National Medical Products Administration) 国家食品薬品監督管理局
http://www.nmpa.gov.cn/WS04/CL2042/
http://subsites.chinadaily.com.cn/nmpa/NMPA.html

中国 NMPAでは、2019 4Q – 2020 1Qにかけて、市販後の有害事象報告の電子報告義務化の準備を進めています(HiroPhama News Letter Vol.1 No.3 2019参照)。

韓国MFDS (Ministry of Food and Drug Safety) 韓国食品医薬品安全省
https://www.mfds.go.kr/index.do
https://www.mfds.go.kr/eng/index.do

2. 2020年度PV予算へのインパクトは?

1) 「Regional Requirement : FDA Tag」への対応の準備

判断となるビジネス要件と検討要素は以下が考えられます。以下(Yes or No)Check List

1)現在使用している PV Systemの改修・バージョンアップが 2020年 4月までに必要か?(要確認)

  1. 2019年3月末のPMDA E2B(R3)対応で Version-upしたばかりであり、FDA E2B(R3)対応で、またすぐに Version-upの予算は取れない??:申請しづらい?)
  2. 既存のライセンス契約や年間保守料で、FDA E2B(R3)対応版への Version-upは含まれているので追加費用は不要では?
  3. FDA (R3) Version-upのライセンス追加費用は不要? CSV: UATバリデーション作業は必須では?

     – 自社の PV Systemから直接FDA E2B(R3)電子報告を行うのか?(Yes or No)
    – それとも北米子会社、パートナー会社や欧米HQで対応するので当面不要か?(ditto)
    – FDA E2B(R3) Regulation発出に伴う Regional Requirement (FDA Tag)への対応が、使用中 PV Systemに影響があるか?(ditto)

2) 使用中 PV Systemは、継続使用可能としても、症例処理プロセスやSOP変更・改定作業が必要かどうか?日本と欧米の安全性情報症例処理プロセスでの見直しが発生するか?

3) 北米以外の地域の規制当局の動き「電子報告・E2B(R3)対応」にも対応が必要かどうか?

– 中国、韓国、アジア、欧州各国など

4) FDAに倣って症例 Intake & Triageの自動化(AI)の導入検討を行うのか?

5) シグナル分析(Signal Detection)の増強・新規プロセスを開始するか?

お知らせ

さて、次年度(2020年度)に向けて、予算検討・計上の作業が開始していることと推察いたします。何かご質問などがございましたらお気軽にお声掛けください。
また、今後RFI/RFP作成時には、アドバイザリーコンサルテーションが可能です。

本 Newsletterでは、FDA E2B(R3)の続報としてのお知らせです。引き続き情報収集・ご提供をさせていただきます。

[Reference]